「告白」湊かなえ/あらすじ/レビュー/作者について

あらすじ:

 登場人物
 中学校の女性教師である森口悠子が、ホームルームで告白します。「娘がクラスの誰かに殺された」という衝撃的な告白から物語が始まります。

 事件の真相
 愛美という娘がプールで亡くなった事件の真相は、二人の生徒(AとBと呼ばれる)によるものでした。Aは感電装置を使い、Bは愛美をプールに放り込みました。森口は二人を許さず、復讐を計画します。

 視点の変化
 物語は「級友」「犯人」「犯人の家族」という異なる視点から語られ、事件の全体像が徐々に明らかにされていきます。

 衝撃的なラスト
 森口は犯人達にHIV感染者の血液を飲ませ、彼らに罪の重さを知らせる復讐を果たします。

レビュー:

 人の心の暗部が揺れ動く思春期の心の動きが私の心を捉えます。残酷なまでに繊細な思春期です。でも、この物語のテーマはあくまでも森口悠子の復讐です。衝撃的でした。最後まで読み切った時、森口悠子の復讐劇の完遂がありました。法で裁けなければこの方法しかないという形での、爽快なまでの完結だと思います。

 どんなことをされても母親への歪んだ愛を感じ、また母親だからといって子どものことを何でも理解しているという訳ではないということを思い知らされました。もし自分が母になった時、どう育てるべきであるのか不安になりました。それぞれの目線で描かれているのが面白かったです。

 告白はとても印象深い作品です。忘れたくても忘れられない本です。子どもを亡くした教師が、その子どもを殺した生徒に復讐する話です。この作品は各登場人物が告白する形で語られますが、本当にこういう登場人物が存在するのではと思ってしまうくらいリアルな口調で、一気に物語に引き込まれました。

 軽い気持ちで読み始めてしまったのを後悔するくらい、陰鬱でドロドロした内容でした。

作者について:

 湊かなえさんは、1973年1月に広島県因島市(現・尾道市)で生まれた小説家です。武庫川女子大学家政学部被服学科を卒業し、アパレルメーカーで働いた後、青年海外協力隊隊員としてトンガに赴任しました。帰国後は淡路島で家庭科の非常勤講師として働きながら、創作活動を始めました。 

 湊かなえさんのデビュー作は小説「聖職者」第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞し、この作品の第一章「聖職者」で同年に第29回推理新人賞を受賞して小説家としてデビューしました。その後、この第一章を含む連作集「告白」が2009年に本屋大賞を受賞しました。それは史上初の、デビュー作でのノミネートと受賞を果たしたことになります。
 湊かなえさんの名前とともに「イヤミス(読んだ後に嫌な気分になるミステリー)」というジャンルを広めました。
 この小説は、緻密なプロットと登場人物の心情描写が特徴であり、読者を引き込む力があります。

  湊かなえさんは、登山が趣味であり、家庭、仕事、趣味を自身の三本柱として大切にしているそうです。

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