「夜が明ける」西加奈子/あらすじ/感想

 この作品は、直木賞作家である西加奈子さんが5年間の苦闘を経て完成した、再生と救いのテーマを描いた長篇小説です。 作中を通して貧困という問題が常に存在し、現実社会で見過ごせない問題を描いています。

あらすじ:

 物語は「俺」と名乗る主人公と、母親にネグレクトされていた身長191センチメートルの「アキ」の出会いから始まります。二人は高校一年生の時に出会い、無名のフィンランド俳優「アキ・マケライネン」を通じて仲良くなり、互いにかけがえのない友となります。

 しかし、物語は次第に重苦しくなり、僕とアキの生活が壊れていきます。僕は恩人からの「負けるな」という言葉を糧に劇務の毎日を過ごし、人に頼ることができなくなっていき、挫折をしてしまいます。一方、アキはある俳優と同じ道を辿ろうとしますが、虐待、貧困、暴力などに遭遇します。

 物語は、主人公とアキがそれぞれの困難を乗り越え、再生と救済を求めて前進する様子を描いています。最後には「どれだけ傷ついても、夜が深くても、必ず明日はやってくる」というメッセージが込められています。

主な登場人物:


  • 物語の主人公で、名前は明かされていません。高校時代にアキと出会い、大学を卒業してからテレビ業界に就職します。僕の視点から物語は語られ、僕自身も多くの困難を経験します。
  • アキ
    本名は深沢暁。彼は物語のもう一人の主人公で、191センチメートルの巨体です。フィンランドの俳優アキ・マケライネンにそっくりで、僕とは高校時代に出会い、急速に親しくなります。やがて彼は演劇を志しますが、多くの困難に直面します。

 これらの登場人物を通じて、友情、成長、困難、再生、救済といったテーマを描いています。

感想:

 この物語は、日々の不条理や闇の中の一筋の光といったテーマを巧みに組み合わせて描いています。また現代社会の問題、例えば貧困、虐待、過重労働、ハラスメント、誹謗中傷をリアルに描き出しています。物語のクライマックスでは、心が躍る瞬間がありました。現代日本の貧困の現実が鮮明に描かれていると感じました。辛さを感じつつも、人間の温かさや優しさを深く味わいとも思いました。またこの物語は現代日本への批判のようにも感じられました。 

 この作品は、現代社会の問題をリアルに描き出しており、彼らの人生の軌跡は読者に深い感銘を与えることでしょう。作者の力強いメッセージが込められたこの作品は、多くの読者にとって心に残る作品となるでしょう。

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