「流浪の月」凪良ゆう/あらすじ/感想

あらすじ:

 主人公の家内更紗(かないさらさ)は父を病で亡くし、母に見捨てられ、伯母の家に引き取られます。更紗は伯母の息子(=いとこ)から虐待を受けており、公園で過ごすことが多くなります。ある日、公園で雨に濡れている更紗に、19歳の大学生・佐伯文(さえきふみ)が傘を差し出し、自分のマンションに招き入れます。家に帰りたくない更紗は文のもとで2ヶ月を過ごしますが、その間に行方不明の女児として全国に報道されます。文と更紗が一緒に外出した際に通行人に見つかり、文は誘拐犯として逮捕されます。

 事件から15年後、更紗は偶然にもカフェで文と再会します。文はカフェの店主として働いており、更紗はその店に通うようになります。しかし、更紗の婚約者・中瀬亮は文の過去をSNSで暴露し、それを責めた更紗に暴力を振るいます。更紗は傷を負いながらも文のカフェに逃げ込み、文に助けを求めます。

 その後、更紗は文の隣に引っ越し、新しい生活を始めますが、週刊誌に文の過去が取り上げられ、嫌がらせがエスカレートします。更紗は職場でも問題視され、仕事を辞めるよう促されます。更紗は亮に会いに行きますが、亮は更紗の目の前で突然手首を切り、自殺を図ります。

 文は更紗に、自分が「身体が大人にならない病気」を抱えていることを告白します。それは世の中が差別的な偏見を持っているものでした。更紗は文を強く抱き締め、二人は誰も自分達を知らない土地で新しい生活を始めることを決意します。

感想:

 この物語は、社会の偏見や誤解に立ち向かいながらも、互いに支え合う二人の姿を描いています。

「普通でない」「気味が悪い」「不快だ」という感情は、私達の意識の根底にある差別意識の表れかもしれません。人は皆、普通でない側面を持ちながら、それを隠して普通を装って生きていると思います。時には自ら普通の型にはまりにいくこともあります。型にはまらない人を見ると不安になり、差別したくなることもあります。「流浪の月」は、普通を装うことの気持ち悪さに気づかせてくれます。

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