あらすじ:
「黄色い家」(電子書籍版もあります)は、川上未映子(かわかみみえこ)さんによる、話題の「2024年本屋大賞」にノミネートされ、「第75回読売文学賞(小説賞)」に受賞した作品です。
この小説は1990年代後半を舞台に、貧困に苦しめられる若者達の姿を描いたクライム・サスペンスです。人はなぜ罪を犯すのかというテーマを探求しています。若者の社会的課題や犯罪を深く掘り下げた社会派青春小説であり、読者に深い考察を促します。
以下に、あらすじと感想を紹介します。
物語の背景と始まり:
・2020年春、惣菜店の販売スタッフとして働く伊藤花は、ネットのニュース記事で吉川黄美子という女性の名前を見つける。
・60歳になった黄美子は20代の女性の監禁・傷害の罪に問われ裁判にかけられていた。
・それは長らく忘却していた20年前の記憶だった。
・花は黄美子と疑似家族のように共同生活を送った日々を忘れていたはずだったが、ニュース記事によって20年前の記憶が花の心に蘇る。
花と黄美子の出会い:
・花が15歳の頃、母と文化住宅で暮らしていたが、父親は家を出て行き、母親にはトロスケという彼氏がいた。
・ある日、花が目を覚ますと、母親の代わりに黄美子と名乗る女性が現れる。黄美子は自分を「黄色の黄に美しい子で、黄美子」と紹介し、花を新しい生活へと導く。
黄美子が現れたことで、花の人生に変化をもたらす。
・黄美子は花の母親の友人で、一緒に過ごすうちに花は彼女のことを好きになる。
・貧困に苦しむ花にとって黄美子は心強い存在であり、学校でも仲良くできる友達を得るきっかけとなる。
黄美子との再会:
・黄美子が突然花の家から姿を消すが、数年後再会する。
・黄美子と花は二人でスナック「れもん」を始め、共同生活を送る。当時の花は17歳だったが、20歳だと偽って接客する。
・キャバ嬢を辞めた加藤蘭と女子高生の玉森桃子という少女達が加わり、4人での生活が始まる。
・黄美子さんの知り合いでホステスの琴美と、疑わしいビジネスをしている安映水(アン・ヨンス)とも親しくなる。
平穏な生活に変化が訪れる:
・スナックが火事で全焼し、花はシノギ(賭博や売春などの犯罪)に手を染める。
・金のために犯罪を犯す4人の生活は、次第に崩れていく。
レビュー:
●犯罪を犯しても花を応援してしまいます。
花は他人のためにお金を稼ごうとする姿勢が強く、彼女を応援したくなります。
花の境遇に同情しながらも犯罪行為を肯定することはできません。
金のために人生が狂っていく姿が強烈に描かれています。
●600ページあるとは思えないほどあっという間でした。
作品は大長編であり、見た目よりも読みやすかったです。
金に狂わされた人間の姿をリアルに描いています。
作品は、若者が抱える社会的課題や犯罪に手を染める心理的状況を丁寧に描いており、黄色い家の謎と共に読者を引き込みます。川上未映子さんの独特の世界観と緻密な描写と魅力的なキャラクター達が、物語をさらに深化させています。
風水の意味も重要であり、黄色いものにすがる描写が物語を彩ります。
最終的に、花は黄美子との対決を経て、20年後に彼女を訪ねる場面で物語は幕を閉じます。花は罪悪感と後悔を抱えながらも、それでも生きていくことを決意します。
この詳細なあらすじがお役に立てば幸いです。もし作品に興味を持たれましたら、是非一度読んでみてください!
Audibleで「黄色い家」を聴くこともできます。
電子書籍版はこちら
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黄色い家
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