「水車小屋のネネ」津村記久子/作者について/あらすじ/レビュー

作者について:

 津村記久子さんの作品は、自身の会社員生活の経験を元に、働く人々や女性を描いたものが多いです。また大阪在住であり、近畿地方を舞台にした作品や関西弁を話す登場人物も多く描かれています。

 津村記久子さんは2000年に新卒で入社した会社で上司からパワーハラスメントを受け、10ヶ月で退社しました。その後、職業訓練校などを経て2001年に転職しました。兼業作家として、会社から帰った後、睡眠を2回に分けてその合間に小説を執筆していました。そして、2012年に10年半勤めた会社を退職し、専業作家となりました。彼女の作品は、そのリアルな描写と共感を呼ぶキャラクター造形で、多くの読者から支持を受けています。

あらすじ:

「水車小屋のネネ」は、津村記久子さんによる長編小説で、姉妹とヨウム(鳥)のネネ、そして周囲の人々との温かい交流が描かれています。物語は1981年から始まり、エピローグの2021年まで、章が変わるごとに10年ずつ過ぎます。

 以下に、章ごとの詳細なあらすじを記述します:

  • 1981
     18歳と8歳の姉妹、理佐は、身勝手な母親の元を離れ、知り合いもいない土地で新たな生活を始めます。理佐は蕎麦屋で働き、律はその仕事場で使われる石臼の番をすることになります。彼女たちの新しい生活の中で、注目すべき登場人物の一人が、賢くて愛らしいヨウムのネネです。
  • 1991
     物語は理佐が母親の婚約者のために短大の入学金を使った出来事から始まりますが、毒親の話とは異なり、その後は姉妹と彼らの新しい生活、そしてネネとの関わりが中心となります。
  • 2001
     姉妹は周囲の人々の優しさに支えられながら生き延び、後半では地元の人々を助ける側に立ちます。
  • 2011
     物語のクライマックスでは、藤沢先生の言葉「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」が重要な役割を果たします。
  • 2021年(エピローグ)
     物語は1980年代の山間にある小さな町から始まります。水車小屋で暮らすヨウムのネネは、人の言葉を話すことができ、町の人々に愛されています。ある日、18歳の理佐と15歳の律の姉妹が、母親の再婚を機に家出します。二人は水車小屋にたどり着き、ネネと出会い、そこで働き始めます。

 この物語は、姉妹の絆やネネとの関係、そして周囲の人々との触れ合いが、物語全体を温かいものにしています。読み終えた後も、物語の余韻が心に残ります。この小説は長かったですが読みやすく、登場人物達の成長と交流が魅力的に描かれています。

レビュー:

  • 物語が始まる1981年からエピローグの2021年まで、10年ごとに進行する構成が楽しかったです。
  • 物語の中心にいるヨウムのネネが愛らしく描かれていて、その存在が読者を癒し、物語を明るくしてくれると感じました。
  • 姉妹が新しい環境でたくさんの人々と関わり、一人また一人と優しく温かなつながりができるたびに、ホッとして嬉しくなりました。
  • 物語の中にはドラマティックな出来事は少ないですが、淡々と力強く生きていく人々の30年間を共に過ごしているような感覚になりました。

 全体的に、「水車小屋のネネ」は多くの読者にとって心温まる物語であり、その中に描かれた人々の生活やネネとの関わりが魅力的に感じられたようです。ただし、物語の進行が淡々としているため、特に盛り上がることもなく年月が過ぎていく物語に飽きてしまったという声もあり、物語の進行が遅く感じられた可能性もあります。それでも、多くの読者がこの物語を楽しんでいたことは間違いありません。

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