あらすじ:
「西の魔女が死んだ」(文庫本:電子書籍版もあります)は梨木香歩(なしきかほ)さんによる小説で、1994年に出版された作品です。この物語は、主人公のまいが自らを魔女と呼ぶおばあちゃんと過ごした時間を回想する形で進んでいきます。まいは中学校に入学したばかりの頃、不登校になってしまい、しばらくの間、おばあちゃんの元で2人で暮らしていました。そこで、まいは「魔女」になるための修行をすることになります。その修行は、「何でも自分で決めること」でした。
物語は、まいがおばあちゃんと過ごした2年前の1ヶ月間を振り返るところから始まります。おばあちゃんはイギリス人の魔女で、まいに魔女になるための修行をさせます。修業として、自然豊かな田舎で規則正しい生活、ジャムを作る、ハーブで草木の虫を取り除く、自然と触れ合い、お気に入りの場所を作るなど、概ねは順調でした。
しかし、おばあちゃんの知り合いのゲンジさんに、まいは嫌悪感を覚えます。魔女修行から3週間ほどたった朝、おばあちゃんの家の鶏小屋が荒らされ、鶏達はバラバラになっていました。その日の夜、鶏の死に関連して人が死んだらどうなるか、という話題になります。おばあちゃんは魂が身体から離れて自由になることだとまいに言い、本当にそうなのか、おばあちゃんが死んだ時まいに教えるという約束をします。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」とおばあちゃんは言いました。そしてまいは、この「西の魔女」から決定的なメッセージを受け取るのでした。
ある日、ゲンジさんがまいのお気に入りの場所の境界を耕している場面に遭遇し、動揺したまいはおばあちゃんに対してゲンジさんを罵倒し、「死んでしまえばいいのに」とまで言ってしまいます。それに対しておばあちゃんはまいの頬を打ち、二人の間に溝ができてしまいます。この時の確執が解けることなく、まいはおばあちゃんと別れ、両親と一緒にT市に住むことになります。
2年後におばあちゃんが亡くなり、まい達家族はおばあちゃんの家に行きます。結局わだかまりを解消できないままだったことを後悔し続けていたまいですが、以前に約束したおばあちゃんが死んだ時の約束の痕跡を見つけ、まいは泣きながら「おばあちゃん、大好き」と呟きます。
この物語は、自己成長、自己発見、生きる力を取り戻していく過程などを描いています。そして人との関係性や死というテーマを扱っており、多くの読者に愛され続けています。また2008年6月21日にはアスミック・エースから映画化(DVD,Blu-ray)もされています。舞台化もされ、2024年6月には新たな演出で上演される予定です。
レビュー:
「西の魔女が死んだ」は心温まる物語で、多くの読者に愛されています。読者のレビューによると、この小説は特に中学生から大人まで幅広い世代に推薦されており、その理由は以下の通りです。
生活の基本を学ぶ
早寝早起きや規則正しい食事、自分のことは自分で決めるといった生活の基本を通じて、主人公が再び学校生活を続ける下地を築く過程が描かれています。
感情の共感
祖母との関係や死に対する考え方など、読者が自身の経験と重ね合わせて共感できる要素が多く含まれています。
自然との触れ合い
自然豊かな田舎での生活が詳細に描かれており、読者にとっては現実逃避のような癒しを提供しています。
死生観の描写
祖母の死生観や、死に対する前向きなメッセージが、多くの読者に感動を与えています。
映画化もされたこの作品は、原作の持つ温かみを映像で表現しており、特に祖母役のサチ・パーカーさんの演技が高く評価されています。全体的に「西の魔女が死んだ」は、日常の中で大切なことを見つめ直すきっかけを与えてくれる作品として、多くの人々に受け入れられているようです。読者の感想は、作品が提供する教訓や感動、そして自然との調和に対する賞賛の声が多いことを示しています。
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西の魔女が死んだ
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