「笑う森」荻原浩／あらすじ／レビュー

「笑う森」は荻原浩さんの小説で、神秘的な雰囲気と謎めいたストーリーが特徴的です。

あらすじ：

　神森と呼ばれる原生林で、5歳のASD（自閉症スペクトラム障害）の男の子、真人（まひと）が行方不明になります。

　一週間後に真人は無事に保護されますが、彼は「クマさんが助けてくれた」と語るだけで全容を把握できません。詳細な経緯は不明のままでした。

　真人の母親である岬は、この出来事に対して世間から厳しいバッシングを浴びることになります。真人の義弟・冬也が調査を行った結果、真人は4人の男女と一緒にいたことが判明しました。しかし、真人が行方不明だった1週間の空白の時間は依然として解明されていません。

　空白の時間が完全に埋まらない中で、森での出来事が次第に明らかになります。

　この出来事を通して、真人の家族の絆や人間関係の複雑さが描かれていきます。母親への批判、義弟の対応、ASD児の不可解な言動など、様々な要素が織り交ぜられた作品となっています。

　最終的には、この森での出来事が、希望と再生に満ちた未来につながっていくことが示唆されています。荻原浩さんの丁寧な描写により、平凡な人物の内面が丁寧に描き出されています。

レビュー：

　荻原浩さんは、読者を森の中に引き込む巧みな描写で真人の体験を描いています。森の不可解な出来事や真人の記憶の謎が徐々に明らかになり、人間の弱さや複雑さを感じさせます。

　平凡な人物の内面が丁寧に描き出されていることが高い評価に値します。森の中で何があったのか、そして最後はどのような展開なのか、熱心に物語を追っていきました。

　ASD児の不可解な言動や、母親への批判、義弟の対応など、様々な要素が織り交ぜられた作品となっています。

　最終的にはこの森での出来事が希望と再生に満ちた未来につながっていくことが示唆されており、前向きな結末となっています。

　一方で、真人が行方不明だった一週間の空白の時間が依然として解明されていないことについて、少々疑問を感じています。

　全体としては、丁寧な描写と深い洞察力により、ASD児を持つ家族の苦悩や葛藤が生き生きと描かれていますね。

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