「告白撃」住野よる/あらすじ/レビュー

あらすじ:

 この小説の主人公は、30歳を目前に婚約した女性・千鶴(ちづる)です。千鶴は幼馴染みで親友の響貴(ひびき)に密かに想いを寄せていました。

 千鶴は響貴の想いに気づいていました。そして響貴に「告白させてから、断る」という秘密の計画を立てます。親友に告白されたいと同時に、断りたい気持ちも抱えている千鶴でした。

 この計画の背景には、千鶴自身が響貴への想いを抱えていたことがありました。かけがえのない友情のため、罪深い大作戦が幕を開けます。彼女の願いはただ一つ。響貴が想いを引きずらず、前に進めるようになることです。

 しかし、この「告白大作戦」は予想外の展開を見せていきます。響貴の告白に対して、千鶴は自分の本当の気持ちを伝えられずにいました。一方で、周囲の人間関係も複雑に絡み合っていきます。

 物語の舞台となるのは東京の片隅にある小さなカフェ「ルミエール」です。 ここは千鶴と響貴がよく訪れる場所で、二人の大切な思い出が詰まっています。千鶴はこのカフェで響貴に告白させる計画を練ります。千鶴は響貴が自分に対して抱いている感情を知っており、響貴の幸せを願うあまり、自らの手でその恋心を終わらせようと決意します。

 計画の内容は、千鶴が偶然を装い、響貴の前で他の男性とデートする姿を見せることでした。 これにより、響貴が自分の気持ちに決着をつけるきっかけを作るというものです。しかし、この計画は千鶴にとってもリスクが伴います。もし響貴が自分の気持ちを伝えることなく去ってしまったら、二人の友情にも亀裂が入る可能性がああるからです。

 物語は千鶴の計画実行の日から始まります。カフェでのデートシーンを響貴に目撃させることに成功しますが、予想外の展開が待ち受けていました。響貴は千鶴の行動に混乱し、自分の感情と向き合うことを余儀なくされます。一方、千鶴もまた計画を通じて自分自身の感情に気づき始めます。

 結末に向けて、二人の関係は複雑な心情の変化を迎えます。響貴は千鶴への想いを断ち切ることができるのか、そして千鶴は響貴との友情を守りながら、響貴の幸せを願うことができるのか。最後までハラハラドキドキの展開に引き込まれました。

「千鶴」の視点:
 30歳を目前に婚約した女性
 幼馴染みの響貴に密かな想いを寄せていた。
 響貴に告白させてから断る、という計画を立てていた。

「響貴」の視点:
 千鶴への想いを抑えきれずに、告白することを決意した。
 千鶴の反応を恐れながらも、想いを伝えようとした。
 千鶴の反応に戸惑いながら、関係性の変化に直面した。

「周囲の人間関係」:
 千鶴と響貴の関係性に、他の登場人物も巻き込まれていく。
 複雑な人間関係が展開し、予想外の展開を見せていく。

 このように、「告白撃」は30歳を目前にした大人の恋愛と友情を描いた作品です。主人公達の複雑な心情と、予想外の展開が物語の核となっています。

追加情報-「告白撃」にみる大人の恋愛と友情:

 この小説の特徴は30歳前後の大人達の恋愛と友情を描いていることです。

  • 大人ならではの割り切り:
    千鶴は響貴への想いを抑えつつ、婚約者との関係を維持しようとしています。大人の恋愛には、現実的な判断が求められるのですね。割り切りながらの関係……。
  • 沈黙と遠慮:
    響貴は千鶴への想いを伝えることに躊躇しています。大人になるほど、自分の気持ちを表に出すことが難しくなりますよね。何となく解ります。
  • 複雑な人間関係:
    千鶴と響貴の関係性は、周囲の人間関係にも影響を及ぼしていきます。大人になるほど人間関係が複雑化していくので、辛いですよね。

レビュー:

 このように、「告白撃」は大人になった主人公達が経験する恋愛と友情の難しさを描いた作品だと言えるでしょう。この作品は、大人の恋愛と友情を丁寧に描いた、非常に興味深い作品だと言えます。

 住野よるさんの「告白撃」は、恋愛と友情の間で揺れ動く心理を繊細に描いた作品だと思います。登場人物達の感情の機微が丁寧に描かれており、読む者を物語の世界へと誘うことでしょう。

「告白劇」ではなく「告白撃」としているところも面白いと思いました。

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