「ライオンのおやつ」小川糸/あらすじ/感想/関連情報

あらすじ:

 雫は33歳という若さで余命を宣告され、その事実を受け入れることに苦しみます。しかし、彼女はその困難な状況を乗り越え、自分の死を受け入れる旅を始めます。彼女の旅は、自分自身が死に向かう、主観的な死の方を探求するもので、その過程で彼女は多くの感情と向き合います。

 雫はホスピスに入居してしばらくすると、次第に他の入居者達とも打ち解けていきます。雫はホスピスの入居者達との触れ合いの中で、自分の過去の傷を癒していきます。そして自分の人生を振り返り、最後まで自分らしく生きることの大切さを学んでいきます。

「ライオンの家」には、雫と同じように余命僅かな入居者達が暮らしています。そこでは、毎週日曜日午後3時に「おやつの時間」が設けられており、入居者達が思い出のおやつをリクエストできるのが楽しみの一つとなっています。食べたいおやつとそれに関するエピソードを紙に書いて専用の箱に投函します。彼女は自分の余命が尽きるまでの時間をそのような小さな瞬間を大切に過ごすことで、穏やかに過ごすことを学びます。

 しかし、雫は自分の思い出のおやつをなかなか選べずにいました。おやつの内容はホスピスの代表者であるマドンナがくじ引きで決め、当日まで当選者には知らされません。マドンナは、雫に対して温かい眼差しを向けています。マドンナは雫が自分の人生を見詰め直し、最後まで自分らしく生きられるよう、様々な支援をしています。

 雫は、赤ん坊の時に自分の両親を事故で亡くしており、その後、自分の人生に大きな影響を及ぼす出来事に巻き込まれていくのです。両親の死後は母と双子の叔父に育てられました。叔父は再婚し、雫は別居生活を始めます。大人になった雫はガンになり、33年の生涯を閉じることになります。

 雫は自分自身の死を受け入れ、その過程で多くの人々と深い絆を結びます。毎週日曜日に出されるおやつが心の拠(よ)り所となり、入居者達や白い犬の六花と触れ合う生活が、雫の最後の約2か月間の思い出となります。そして彼女は自分の思い出のおやつを選ぶことになります。

感想:

 この物語は、生と死、愛と絆についての深い洞察を提供する作品であり、死というテーマにどのように真正面から向き合うかを考えさせられる作品です。雫の心の変化が上手く描かれ、最後には死を受け入れていく姿に深く引き込まれました。またそれが雫が自分の母親との関係を再評価する動機となっています。生きていることの喜びと大切さが表現されていると感じます。自分自身の人生を見詰め直すきっかけとなりました。

「ライオンのおやつ」に関連する追加情報:

 この作品は2020年の本屋大賞にノミネートされ、第11回新井賞を受賞するなど、高い評価を得ています。さらに、NHKでドラマ化されており、書店での刊行記念イベントも開催されるなど、大きな注目を集めている作品となっています。

 以上が、小川糸さんの小説「ライオンのおやつ」のあらすじ/感想/関連情報です。この作品は、余命宣告を受けた主人公の人生観の変化を描いた感動的な物語であり、多くの読者に支持されています。

ライオンのおやつ
【Amazon】
単行本
新品価格
¥1,114から
(2024/6/15 00:06時点)
ライオンのおやつ
【Amazon】
文庫本
新品価格
¥792から
(2024/6/15 00:09時点)
ライオンのおやつ
【Amazon】
Kindle版
新品価格
¥776から
(2024/6/15 00:11時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました