「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ/あらすじ/感想

 物語は主人公の森宮優子が高校3年生の時から始まります。優子は血の繋がらない父親の森宮壮介と二人で暮らしています。優子にはこれまでに3人の父親と2人の母親がいて、苗字が4回変わっています。優子は明るく振る舞う性格で、クラスメートから嫌味を言われることもありますが、森宮との生活は幸せでした。

 一方、みぃたんという幼い少女は実の母親を亡くし、実の父親と二人で暮らしていました。みぃたんの父親は再婚し、新しい母親として梨花が現れます。梨花は自由奔放な性格で、みぃたんにたくさんの愛情を注ぎますが、彼女には秘密がありました。

 物語が進むにつれて、優子とみぃたんの物語が交錯していきます。実は、みぃたんは幼い頃の優子であり、梨花は優子の継母でした。梨花は何度も再婚を繰り返し、最終的に森宮と結婚しますが、しばらくして姿を消してしまいます。森宮は優子を一人で育てることを決意し、優子の苗字は森宮となりました。

 優子は高校生活を送りながら、合唱コンクールでピアノを演奏することになります。彼女は緊張しながらも、友人や森宮の支えを受けて演奏を成功させます。数年後、優子は高校の同級生である早瀬賢人と再会し、結婚を誓い合います。

 結婚式の日、優子の元に行方不明だった梨花から手紙が届きます。実は梨花は重い病気を患っており、優子の幸せを願って再婚を繰り返していたのです。梨花の死を看取った泉ヶ原からの知らせも届き、優子は梨花の真実を知ることになります。

 結婚式には優子の3人の父親が揃い、森宮は「親たちから渡されたバトンを、しっかり受け取れ」と花婿の早瀬に優子を託します。このようにして、優子は新たな人生の一歩を踏み出すのです。

感想:

「そして、バトンは渡された」は、家族の絆や愛情の深さを描いた感動的な作品です。血の繋がりがなくても家族としての絆を築くことができるというメッセージを伝えています。主人公の優子が様々な親との関係を通じて成長し、最終的に自分の人生を切り開いていく姿は、勇気と希望を与えます。

 特に印象的なのは、優子の継母である梨花の存在です。梨花は自由奔放でありながらも優子に対する深い愛情を持ち続け、その愛情が優子の成長に大きな影響を与えます。梨花の行動や選択には賛否両論あるかもしれませんが、彼女の真意を知ることで、彼女の愛の深さを理解することができます。

 また物語の中で描かれる合唱コンクールのシーンや優子が結婚式で新たな一歩を踏み出すシーンは、感動的で心温まる瞬間です。これらのシーンは、優子が過去の経験を乗り越えて未来に向かって進む姿を象徴しています。

 全体として「そして、バトンは渡された」は、家族の形や愛情のあり方について考えさせられる作品であり、心に残る一冊となることでしょう。

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