「ヘヴン」川上未映子/あらすじ/レビュー

あらすじ:

「ヘヴン」は、斜視(しゃし)が原因でクラスメイトたちからいじめの標的にされている14歳の中学生「僕」と、同じくいじめを受けているクラスメイトの少女コジマの交流を描いた物語です。ある日、「僕」は筆箱の中に「わたしたちは仲間です」と書かれた手紙を見つけます。その手紙の差出人はコジマでした。二人は手紙を通じて徐々に心を通わせ、夏休みには「ヘヴン」と呼ばれる美術館で一緒に絵を観賞します。

 コジマはいじめられることに意味があると信じており、自分達の弱さを受け入れ、それを乗り越えることが大切だと考えています。彼女は「僕」の斜視を「僕」にだけ与えられた紋章であり、それが好きだと言ってくれます。しかし、夏休み明けに学校で激しいいじめに遭い、顔に酷い怪我を負った「僕」は、通院した際に斜視が治る事実を知ります。この事実をコジマに告げると、彼女は突然涙を流し、それ以来、口を利いてくれなくなります。

「僕」は何度も手紙を送りますが、コジマからの返事はありません。やがて、ようやく公園で会う約束にこぎつけますが、そこにはいじめを敢行するクラスメイト達が待ち伏せていました。この出来事が「僕」が最後に見たコジマの姿となります。

 この物語は、いじめという深刻なテーマを扱いながらも、人間の内面や弱さに対する深い洞察を提供しています。

レビュー:

  • 心理描写がリアルで、読んでいて心が痛む。
  • いじめの描写が辛く、登場人物の思想に深く考えさせられる。
  • 終わり方については読者に多くを委ねる形であり、物語の解釈には読者の想像力が求められる。

 全体的には、社会的な問題を深く掘り下げた作品として評価されているようです。

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