「川のほとりに立つ者は」(電子書籍版もあります)の作者は寺地はるなさんです。彼女は1977年に佐賀県で生まれ、2014年に「ビオレタ」で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞し、デビューしました。寺地さんの作品は、山本周五郎賞や吉川英治文学新人賞の候補にもなっており、「川のほとりに立つ者は」は恋人の秘密を追う女性が主人公の物語です。2023年の本屋大賞候補作にも選ばれました。
以下に、目次ごとの詳細なあらすじを記述します。
第1章:意識不明の恋人
カフェ「クロシェット」の店長である主人公の原田清瀬は、恋人の松木圭太が歩道橋から落ちて意識不明の重体になったという知らせを受けます。事件の目撃者である「まお」と名乗る女性によると、松木は誰かとの殴り合いの喧嘩が原因で怪我をしたとのことです。しかし、清瀬は彼が優しくて素直な人物である、暴力を振るうような人物ではない、と信じて疑いません。また彼女は自分が松木のことをそれほど知らないのではないかと疑問に思います。そこで、彼の秘密を探る旅が始まります。
清瀬は松木とは新型コロナウイルスの影響で人と会いにくくなり、仕事も忙しくなったため、すれ違いが続いていました。松木には「隠し事」があり、それが二人の間の喧嘩の原因になっていました。
第2章:松木の秘密
清瀬は松木の意識が回復するのを待つ間に、彼の部屋を訪れます。そこで彼女は彼が隠していた三冊のノートを発見します。そこには稚拙な字で書かれた子供のような文章や、ある女性への手紙のような文章が記されていました。これらのノートから、清瀬は松木の隠された一面と、松木とのすれ違いの「本当の理由」を知ることになります。
この章は、清瀬が松木の隠された一面を知り、彼女自身の理解と想像力の重要性に気づくきっかけとなります。
第3章:真実への道
清瀬は松木の過去と彼が抱えていた苦悩について、徐々に真実を解き明かしていきます。彼女は松木の友人や関係者に会い、話を聞く中で松木と自分との関係についても見つめ直し、彼の真の姿を理解しようとする心理的な葛藤を深く掘り下げています。
また松木の怪我とその原因についての真実が徐々に明らかになり、清瀬の発見とともに物語が進展していくことを感じさせます。この章は、人間関係の複雑さと互いを理解しようとする努力の重要性を浮き彫りにしています。
第4章:他者との交流
物語は、「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者との交流の中で生じる痛みとその先にある希望を描いています。清瀬は松木の隠し事の真相に気づき、人と人との関係の難しさや、想像力の重要性について深く考えさせられます。
この章は、清瀬が松木の隠し事を知ることで、彼との関係に新たな光を当てるターニングポイントとなっています。
終章:希望への架け橋
最終章では清瀬が松木の「隠し事」の真実に迫ります。松木の秘密と向き合い、それを受け入れることで成長していく様子が描かれます。彼女は松木との関係を再構築し、新たな一歩を踏み出す勇気を見つけます。
清瀬が松木の隠し事とその背後にある深い理由を理解し、彼との関係を見つめ直す過程が描かれます。また松木の隠し事が彼の人間関係や行動にどのように影響を与えていたかが明かされ、読者には想像力の重要性が訴えられます。
寺地はるなさんの作品は、人間関係の複雑さや、理解し合うことの難しさを巧みに描いたものが多く、読者に深い印象を与えることで知られています。特に「川のほとりに立つ者は」では、恋人の秘密を追う女性の視点から、コロナ禍での人間関係の難しさを描いており、多くの読者から共感を呼んでいます。興味を持たれた場合は、是非本書を手に取ってご自身で読んでみてください。
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川のほとりに立つ者は
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